【蒼ふろ】後日、報告にて |
|
| 「……」 「集計するのに随分時間かかったらしいけど、それが今回の報告書らしいよ。」 「……っ」 「どうしたの、雲雀。君が望んでいた優先権は一応獲得できたよ。」
それは、各校別の被害報告書。 特に雲雀自身も妨害に加わった蒼空学園の被害は甚大だった。
「なあ、エル。」 「ん?」 「……死者、って……、嘘だろ……?」 「そんな縁起でもない嘘を報告書に載せてどうするの。」
ダークヴァルキリーの寝所で妨害をした生徒の顔を思い出す。 怪我人も突き飛ばした記憶がある。
「だって、あたしはっ」 「君が望んだ結果だよ。 教導団が優先権を得るには、対立勢力を削るしかない。」 「違うっ!あたしはただ…!」 「団長の役に立ちたかった。教導団をこけにしたヴィルヘルムが許せなかった。 …君が辿りついた結果が、これだよ。」
整った顔立ちの唇からは、淡々と事実のみが紡がれる。
「…あたしは、ただ……、……こんな、はずじゃ…っ 死なせるなんて、そんな、こと…、…っ」
「ねえ、雲雀。」
自室の床にへたり込んで、肩を震わせて嗚咽をもらす雲雀に エルザルドはこの日初めて優しく声をかける。
「君がここへどれほどの覚悟で入ったのかは、俺が一番よく知ってるよ。 軍事学校だから君には合わないってあれほど言ったのに 君は聞かなかったしねえ…」 「だ、って……っ」 「わかってるよ。 思い込んだら一直線、雲雀のそんな所も好きだけどね。 本当に団長のことを想うなら、行動する前にちょっとだけ考えてくれないかな。」 「……っ、うぅ……」
罪の意識に苛まれているのであろう雲雀の頭をぽん、と軽く撫でると エルザルドは言った。
「ね、雲雀。」 「……。」 「団長のこと好き?」 「………っ//////」
膝を抱えて涙に震えていた小さな頭が、こくりと一度だけ頷いた。
| |
|
|
|
2月2日(火)12:44 | トラックバック(0) | コメント(0) | 単発 | 管理
|
|