流離の標
 
PBW「無限のファンタジア」「蒼空のフロンティア」「エンドブレイカー!」のPC&背後ブログ
 



【蒼ふろ】只幸福 是幸福

「黒龍くん、眠れない?」

眠れないから無理やり目を閉じていたのに、目の前で声がする。
返事をするのも億劫なのでそのまま放っておいた。

「僕の目が見えないと思ってー…わかるんだからね。」

知ったことか。だったらどうした。



「…幸せ、って。やっぱり慣れない?」



いつもの面子が島村達の結婚式に参列するという事で
自分も参列を表明してはみたものの。
滲み出るほどの幸せな笑顔。空気。
そこにはただ幸せしかない。

…。


…慣れない。


そんな環境とは無縁に育ってきたから。慣れない。
幸せが何なのか、理解できない。


「ちゃんと、当日は僕を連れてってよ?
僕はこの通りほとんど見えないんだし。」

「……。」

うるさいので、奴に背を向ける。
わずかに聞こえた溜息に問うた。


「幸せとは、何だ。」

「……。」

「私には理解できない。」


しばらくの沈黙。
やがてくすりと微笑む声の後、穏やかな声が返ってきた。


「人はね、幸せじゃないと楽しくないんだよ。
幸せの形はひとつじゃないけど…
楽しくないと、生きていてもつまらないでしょ?

だから、生きるためには幸せが必要なんだ。

黒龍くんにも、あるでしょ?楽しい幸せな時間。」


…窓際で眠る葛葉の姿が視界に入って、視線を反らした。


「誰かの幸せをお祝いするとね、自分もとっても幸せになるの。
とっても楽しくて、一緒に笑いあう事ができる。

だから僕は好きなんだ。こういう幸せが溢れるお祭りが。」


子供のように、本当に嬉しそうに笑んでいるのがわかる。


…それでも、


…理解、できない……。







   しあわせ、とは ?



1月29日(金)01:19 | トラックバック(0) | コメント(0) | 単発 | 管理

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