残響の木霊 |
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| 心霊現象の類は、未だに信じていない。 しかしパラミタに来てからは、依頼で実際に目にする機会も多くなり その認識に多少の変化は起こっている。 …不本意ではあるが、この目に見える分については、 『それ』らの存在を認める事にした。
しかし。
――………
幻聴だろうか。 最近、何とも表現し難い音を聞くことが多い。 葛葉に聞いても何も聞こえないという。
――…………
まるで細い弦を弾いたような音だ。 出所のわからないその音は、残響だけがいつまでも響いている。 耳触りであるはずの、その音を。
……なぜか、心地良い、と。
どこにいるかわからない誰かに、問う。
「…誰だ。」
誰もいないのだから、答える訳がない。 ただ、子供のようなくすくす、という笑い声が…
「……。」
聞こえた気が、した。
(この、感覚……どこかで……)
それが、葛葉との出会いにおいて感じたものと 同一であると私が気付くのは、
……もう少し先の話。
だって、あなたにはまだ僕が見えないのだもの。
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10月1日(木)19:52 | トラックバック(0) | コメント(0) | 単発 | 管理
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