花は流れ、翠の海へ |
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| 蛍の飛び交う月夜の川辺―。 荒んだ心は、何かに捕まっていないと流されてしまいそうで。 いや、いっそ流れてしまえたなら楽なのかとも思えて。 「今は……流れてしまいたい。水みたいに………」 泣きそうな声を震わせながら、彼の手へ縋ろうとして…その手を下ろした。
「…流れてしまいたいのなら、止めはしないけど。 どこまでも流されっぱなしじゃ、流石に困り者だね。」
気付かれまいと下ろされた手を、ジェイドは見逃さなかった。 細い手を確りと握って胸に引き寄せれば、 自然とハニエルの体が胸に収まる。 初めこそびくりと震え怯えていたハニエルだったが、 その胸の温度に涙を堪え切れなくなったのか やがてしゃくりあげながら一滴、二滴、涙を零し始めた。 「・・・っ・・・・ふ・・・・ぇ・・・っ・・」 何も言わず、唯子供をあやすように頭を撫でるジェイドに ハニエルがぽつりぽつりと呟く。 「流れ、いく、前に…っ……きれ、いな、ひすい、が…とめ、て…くれて…よか、った… みつけて…くれて…あり、がと…っ」 泣き続ける彼をただ優しく、優しくその頭を撫でて。 「たまたまだよ。…ほっといたら、そのまま川に流れちまいそうな気がしたから。」 本当に、川へ流れてしまったら…呼び戻せないけれど。 感情の流れに、流れてしまった時は…行き着く先の海で在れたら良い。 全てを許すから、疲れたら…還っておいで。 触れれば壊れてしまいそうな彼の髪を、ただ愛しさだけをこめて撫でていた。
「もう・・流されないよ・・・あり、がとう・・・ジェイド。」
================================ これらの作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する 『無限のファンタジア』の世界観を元に、 株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。 イラストの使用権はろろこ・海月に、著作権は辰巳彬絵師に、 全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。 ================================
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8月21日(木)00:29 | トラックバック(0) | コメント(0) | ジェイドの呟き | 管理
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