流離の標
 
PBW「無限のファンタジア」「蒼空のフロンティア」「エンドブレイカー!」のPC&背後ブログ
 



【蒼ふろ】今年一番のプレゼント

半年振りの地上は眩しかった。
薄暗かったザナドゥと違って、昼と夜がはっきりしてて。
夜にはこんなにもはっきり月が見えて。

放校された事実を聞かされた時は少なからずショックを受けはしたものの、
こうして何者にも脅かされずに
パートナー達と一緒にいられる時間がどれほどかけがえの無いものか。
今はその充足感だけで満ち足りている。他には何も望まない。
これ以上は、高望みというものだ。

「放校されちゃったもんは仕方ねーし。
……何とか、頑張るしかねーよな」

よっし、と気合を入れ直したところで玄関から声がする。

「土御門雲雀の住居はこちらか」
「えっ、あ、はい!」

厳しそうな男性の声だ。
何かやらかしたっけな……と嫌な予感を胸に恐る恐る声に応えて
玄関先まで迎えに出た。
教導団の国軍服をしっかりと着込んだ男性だった。

「あ、あの……あたし何かしました……?」
「団長命令により貴官の教導団への復帰を許可する。
並びに、以前剥奪した少尉の位も再び与えるものとする。
これがその書状である」
「………。……えええええッ!?!?」

事務的に述べられた事実が俄かには信じられず、男性から書状をひったくると
慌てて中身を確認する。
何やら固い文言ではあったが、確かに男性が言っていたような内容が書かれていた。

「あたし……教導団に帰っていいってこと……?」
「繰り返すが、これは団長命令である。至急ヒラニプラに帰還し任務に復帰されたし」

では、と連絡を終えると最後まで事務的な態度を崩さなかった男性は
さっさと住居を去ってしまった。

「……おめでと。土御門『少尉』?」
「ひああ!?だからいっつもいきなり囁くなっつってんだろ!!」

突然背後から現れたエルザルドに脊髄反射で右ストレートを極めると
受け取った書状を何度も何度も繰り返し読み返した。
そこにあるのは、パソコンで出力された事務連絡のみで
何の温度も感じられない文面である。
ただ。

(……また、団長に会える……あの人の傍にいても、いいんだ……!)

こみあげる想いのままに、連絡の手紙をぎゅうっと握りしめた。

「雲雀。嬉しいのはわかるけど、あんまりしわくちゃにしちゃうと
書状見せてくださいって言われた時に見せられないよ?」
「あああっ、ちょっとそれ先に言えよばかっ!!」

慌てて寄ってしまった皺を何とか伸ばすと、同居しているパートナー達に声をかける。


「さあ、皆帰るよ!――ヒラニプラへ!!」



12月31日(土)01:12 | トラックバック(0) | コメント(0) | 単発 | 管理

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