流離の標
 
PBW「無限のファンタジア」「蒼空のフロンティア」「エンドブレイカー!」のPC&背後ブログ
 



Dornen von der Rose

「行くのでしょう。」
「――うん。」

顔を見せない主は、ただそれだけ言った。
薔薇の剣士はただ、それだけ答えた。

「跪きなさい。以後、私の顔を見る事を許さないわ。」
「――うん。」

どこか震えた声で、彼女は言い放つ。
薔薇の剣士はただ、それだけ答えて跪いた。

「両手を、出しなさい。」
「――うん。」

その声の震えが、怒りによるものなのか、悲しみの涙によるものなのか。
彼には知る術は無かった。
故に、薔薇の剣士はただ、それだけ答えて両手を差し出した。

その腕に渡されたのは、ずしりと重い、二刀のサーベル。

「…何処へ行こうと、お前は私の薔薇よ。
 私の薔薇が、下賤な棘を纏う事は許さない。」

薔薇の棘、と名付けられたその剣を
薔薇の剣士は拒むことは無かった。


「――リコス。」

最後に一度だけ、名を呼んで。


「行ってくるね。」



3月26日(水)23:24 | トラックバック(0) | コメント(0) | 1話完結 | 管理

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